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  • 大麦に含まれるβ-グルカンとは
  • 世界の健康表示からみた大麦の健康効果の評価
  • 大麦の健康機能
  • 1.血中コレステロールを正常化する作用
  • 2.食後血糖値を穏やかにする作用
  • 3.プレバイオティクス効果
  • 4.満腹感の持続作用
  • 5.その他の健康機能、メタボ改善作用

世界の健康表示からみた大麦の健康効果の評価

1) 世界の健康表示の概要

 食品に対する機能性を表示することは、国際的なガイドライン(FAO/WHO食品規格委員会)に沿って各国の制度整備が行われてきた。わが国では保健機能食品(栄養機能食品と特定保健用食品)にのみ健康表示が認められている。しかし、大麦のような農産物では品質管理が困難であるために表示が認められた例はないが、平成27年度より新たな食品の機能性表示制度が導入されることになった。
 2006年に米国において、血中コレステロールを下げることを通して、冠状動脈心疾患のリスクを低下させる健康表示を大麦食品に国として認めた。その後やや間をおいて、2012年にはカナダにおいてほぼ同様の健康表示を大麦食品に認めた。さらに同じ年にEUでは大麦の健康効果を幅広く認めた。2013年にはオーストラリア/ニュージーランド、韓国でも大麦の機能を表示することを政府機関が認めた。

表 海外における大麦食品に対する健康表示

  • (1)USA:大麦のβ-グルカンの摂取は冠状動脈心疾患のリスク低下(2006年)
  • (2)カナダ:大麦の食物繊維摂取は血中コレステロールを下げて冠状動脈心疾患の
    リスクを低下(2012年)
  • (3)EU:(2012年)
    • ① 大麦β-グルカンの摂取は冠状動脈心疾患のリスクを低下
    • ② 大麦β-グルカンは食後血糖値の上昇を抑制
    • ③ 大麦の食物繊維は糞便量を増加
    • ④ 大麦のβ-グルカンは血中コレステロールを低下
  • (4)オーストラリア/ニュージーランド:大麦のβ-グルカンは血中コレステロールを
    低下(2013年)
  • (5)韓国:大麦の食物繊維は健康な消化管機能を維持

2) 健康表示の国際的なガイドライン

 現在、食品に健康効果を表示する制度を設けている国は広がっている。わが国では保健機能食品が該当するが、米国ではかなり以前から独自の制度を採用しており、その他の国々でも独自の制度を採用していた。
 食品の規格については、それぞれの国民の健康に有効であり、安全性が確保されていることが求められる。同時に食品の輸出や輸入の障害にならないようにすることも必要であり、貿易上も求められる。そのためにWHO/FAO食品規格委員会(通称CODEX委員会)では食品の健康表示(あるいは健康強調表示、Health Claim)についてもガイドラインの合意がなされている。食品への健康表示は3種に分類される。「栄養強調表示」、「その他の健康表示」、「疾病リスク低減表示」に分けられている。「その他」は栄養素以外を意味している。

3) 日本の健康表示

 わが国では「栄養強調表示」としては栄養機能食品を認めている。現在17種のビタミンとミネラルについて、厚生労働省が決めた基準(1日当たりの摂取量と表示内容)に従う必要がある。機能表示内容は該当成分について周知の機能であり、勝手な表示はできない。また、摂取する場合の注意事項なども必ず表示する必要がある。
 「その他の健康表示」と「疾病リスク低減表示」は特定保健用食品が該当する。2013年末で1000種ほどの食品が認可されている。「疾病リスク低減表示」として認められているのは唯一カルシウムである。カルシウムを決められた範囲に含まれる食品は「高齢期の骨粗鬆症のリスクを下げる」ことを表示できる。
 現在、現行の機能性表示制度(栄養機能食品制度及び特定保健用食品制度)とは別に、食品への機能性表示を認める新たな制度の設置を目的として、「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」が開催されており、平成27年度には新たな制度の運用が予定されている。

4) 米国の疾病リスク低減表示と大麦

 米国は他の先進諸国に先駆けて「疾病リスク低減表示」を認めた。米国の政府機関としてはFDA(Food and Drug Administration)が担当している。現在認められている表示は表1に示した。米国の疾病としては、冠状動脈心疾患とがんが重視されていることが分かる。
 大麦については2006年にこれまで認められていた「特定食品の水溶性食物繊維と冠状動脈心疾患」の中に追加された。特定食品としては大麦の他、オート麦、サイリウムが指定されている。大麦とオート麦では、その表示ができるためには有効成分と考えられているβ-グルカンを指標として、条件も設定されている。

表1 米国FDAの健康表示のリスト

  • ★カルシウムと骨粗鬆症、カルシウム、ビタミンDと骨粗鬆症
  • ★食事脂質とがん
  • ★ナトリウムと高血圧
  • ★食事中の飽和脂肪とコレステロールと冠状動脈心疾患のリスク
  • ★穀類製品、果物、野菜の食物繊維とがん
  • ★水溶性食物繊維を含む果物、野菜、穀類製品と冠状動脈心疾患のリスク
  • ★果物、野菜とがん
  • ★葉酸と神経管欠損
  • ★食事性非エネルギー炭水化物とう蝕
  • ★特定食品(大麦、オート麦、サイリウム)からの水溶性食物繊維と冠状動脈心疾患のリスク
  • ★大豆たんぱく質と冠状動脈心疾患のリスク
  • ★植物性ステロールとスタノールエステルと冠状動脈心疾患のリスク

5) カナダにおける健康表示と大麦

 カナダにおける食品への健康表示は2000年から順次評価を行なって認めているが、全体的には米国の影響を受けている。表2には項目と年次を示した。

表2 カナダにおける健康表示

健康表示対象許可年
★食事脂質、飽和脂肪、コレステロール、トランス脂肪酸と冠状動脈心疾患
★植物ステロール(フィトステロール)と血中コレステロール低下
★ナトリウムと高血圧
★果物、野菜とがん
★カルシウムと骨粗鬆症
★オート麦製品と血中コレステロール低下
★不飽和脂肪と血中コレステロール低下
★サイリウム製品と血中コレステロール低下
★大麦製品と血中コレステロール低下
2000
2000
2000
2000
2000
2010
2012
2012
2012

 大麦については2012年に健康表示を認めている。大麦の健康表示をする際の条件も示されている。カナダでの大麦の健康表示を認める根拠となった研究論文は13件であり、この中にはわが国の清水らによる論文が採用されている。

6) EU(European Union)における健康表示と大麦

 EUでは以前から表示制度を確立するために、表示可能な項目、およびその評価方法等について、専門家による長期にわたる検討が行われ、報告書として発表された。他方、制度の検討も行なわれ、健康表示は次の4つのグループに分類されている。

  • ★一般的な健康表示:一般的に広く認められている健康機能
  • ★新しい機能:一般的な機能以外の新たな機能、現在これに該当するのは
     「水溶性トマト濃縮物」のみ
  • ★疾病リスク低減表示
  • ★小児関連表示

 審査方法や制度が確立され、加盟各国の食品企業などから所属国を通してEC(European Commission)に申請書類が提出されて審査が行なわれてきた。ECに集められた申請書類はEFSA(European Food Safety Authority)に審査が委託されるが、実際にはEFSA の専門家組織であるNDA(Dietetic Products, Nutrition and Allergies)において審査が行なわれる。EUでは成分とその機能ごとに許可されるが、製品を販売する企業からの申請書類ごとに審査が行なわれ、許可される仕組みであり、2012年から順次許可製品が公表されている。
 「一般的な健康表示」の許可は栄養成分が中心である。他方、「疾病リスク低減表示」の許可は慎重に進められており、現在5項目が認められている。
 大麦については「一般的な健康表示」3項目と「疾病リスク低減表示」1項目の2つの分野で表示が認められている。「一般的な健康表示」の内容は表3に、「疾病リスク低減表示」の内容は表4示した。

表3 EUにおける一般健康表示の概要

全体の概要栄養素222項目、非栄養素43項目
コレステロール低下と心臓の正常機能関連(13項目) β-グルカン(大麦とオート麦)、キトサン、グルコマンナン、グアガム、Hydroxypropyl methylcellulose、ペクチン、α-リノール酸、低飽和脂肪酸食、MUFA/PUFA、オレイン酸、リノレン酸、EPA/DHA、紅麹
食後血糖値低下 大麦とオート麦のβ-グルカン、小麦胚乳からのアラビノキシラン、アルファサイクロデキストリン
糞便量増加 大麦穀類繊維、オート麦穀類繊維、小麦ふすま繊維
消化管機能の正常化 ライ麦繊維
消化管通過の促進 小麦ふすま繊維
ラクトース消化の促進 ラクターゼ
血液脂質の酸化ストレスの防御 オリーブ油ポリフェノール
血中TGの正常化 DHA/EPA
血圧の正常化 DHA/EPA
脳機能の正常化 DHA
視覚機能の正常化 DHA
エネルギー制限食による体重低下 グルコマンナン

表4 EUにおける疾病リスク低減表示

機能対象食品
コレステロール低下による冠状動脈心疾患のリスク低減 大麦β-グルカン
オート麦β-グルカン
植物ステロール/スタノールエステル
う蝕予防 砂糖フリーチューインガム
100%キシリトールチューインガム

7) オーストラリア/ニュージーランドにおける健康表示と大麦

 オーストラリアとニュージーランドでは同じ法律(the Food Standard Australia/New Zealand Act 1992(the FSNZ))に基づいて、同一制度での食品の健康表示が確立され、その内容は2013年に発表された。両国の制度では、「高度レベル健康表示(high level health claims)」と「一般健康表示(general health claims)」の2種類に分けられている。「高度レベル健康表示」では10種が認められているが、これは表5に示した。「一般健康表示」は19種の主にミネラルとビタミンが認められており、栄養機能表示に該当する。

表5 オーストラリア/ニュージーランドの高度健康機能表示

機能対象食品
冠状動脈心疾患のリスク低下 果物・野菜の高摂取
果物・野菜摂取の増加
コレステロール低下 β-グルカン(大麦、オート麦)
植物ステロール・スタノールとそのエステル
飽和脂肪酸の低減
飽和脂肪酸とトランス脂肪酸
骨粗鬆症のリスク低下 カルシウム
カルシウムとビタミンD
神経管欠損のリスク 葉酸
高血圧のリスク ナトリウムか食塩

8) 韓国における健康表示と大麦

 韓国では2002年にHealth Function Food Actが実施され、その後数回改定されている。韓国の健康表示はCODEX委員会のガイドラインに沿って、「栄養機能表示(Nutrition function claim)」、「その他の機能表示(Other function claim)」、「疾病リスク低減表示(Reduction of disease risk)」に分けられている。
 ただし、「その他の機能表示」では1から3のグレイドがあるが、1が最も確実性の高い根拠のある場合で2,3と低下する。「その他の機能」や「疾病リスク低減」に該当する成分として39成分が挙げられている。大麦は「その他の機能」として、排便習慣の改善が認められているが、内容は表6に示した。なお、大麦から食物繊維の必要量20-25gを摂取するのはかなり困難であり、韓国政府の文書からはその根拠の詳細は分からない。

表6 韓国における大麦の健康表示

健康表示 1日の摂取量 摂取の注意 食品の含量
健康な消化管機能を維持することを助ける 大麦食物繊維として20-25g 液状でない食品の場合は充分な水分を摂取する 有効成分は500 mg/g以上を含む
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